サッカービジネススクール「COEDO SPORTS COLLEGE」を開講中(写真=クラブ提供)

――サッカークラブがビジネススクールを?

 はい。初年度から開催していて、今は第4期目を実施中です。我々COEDO KAWAGOE F.Cの事例を出しながら、「スポーツビジネスで成果を残せる人材」の育成を目的として行っています。我々がクラブとしてどういう取り組みをしているかだったり、スポンサー企業さん250社とどう契約したか、その企業とどう連携を取っているかだったり具体的な運営手法や考え方を学んでもらえるものになっています。

 またJリーグやJクラブの事業執行役員の方に地方都市の事業戦略やJリーグのアジア戦略について講義をしていただくなど、COEDO KAWAGOE F.CとJリーグの様々な実例をオンラインのワークショップのような形で参加者に学んでもらうんです。

――実例を基にスポーツビジネスを学べるのは素晴らしいですね。

 単なる座学だけではありません。実際に我々のプロセスに関わっていただいて、リアルなビジネスを肌で感じてもらえることが他にはない魅力です。我々はゼロから立ち上げたばかりのクラブなので、スピード感のある成長を間近で見ることができますし、考えてもらったアイデアを、我々を活用して実行することもできます。

――それは凄いですね。社会人が対象ですか。

 いえ、年齢、性別は問いません。将来クラブ運営を目標としている大学生も参加していますし、スポンサーでもある城北埼玉高校の生徒さんもCOEDOにインターン生として来て、川越のパートナー企業さんと一緒に事業に取り組んでいます。城北埼玉高校には社会教育を大事にしているフロンティアコースというものがあって、そこの学生が我々のスポンサー企業さんと協力して、どうしたら企業や街の課題を解決できるかを一緒に考え、実行しています。

――「COEDO SPORTS COLLEGE」の反響はどうですか?

 ありがたいことに、以前の講義に参加してくれた城北埼玉の高校生が「すごく楽しい」といって、今回の講義にも参加してくれたりと好評です。また、「COEDO SPORTS COLLEGE」を受講していただいた社会人のかたが、実際にJクラブに就職するといったこともありました。本当に嬉しいですね。

 学生にとっては今後に生きることを伝えていけるクラブでありたいと考えています。私自身も大学時代に、長期インターンシップで社会人の方とつながりを持って「こんな世界があるんだ」と知って、現在のキャリアを目指すことになりました。それを高校時代や、もっと早いタイミングで世界の広さを知れていたら、将来の選択肢が広がっていたとかんじるんです。ですから我々のクラブがそういう道筋や、気づきのきっかけとなるようなことを、特にCOEDO SPORTS COLLEGEでは提供していけたらと思っています。

――そうした取り組みは、今までのサッカークラブの概念を覆すものですね。

 まさに、今までのサッカークラブの概念を覆す存在になれたらと考えています。川越の魅力を伝える「#(ハッシュ)川越」というオウンドメディアも運営していますが、こうしたメディアを運営することも他のクラブでは取り組みのない事例だと思います。実際、現在はサッカーとは関係のないユーザーが月間3万人訪れるサイトへ成長しており、そのおかげでスポンサー企業さんも増えています。そういった既存のサッカークラブの枠に捉われない取り組みによってクラブと町が一体となって成長している感覚があります。これからもどんどん今までにない取り組みをしていき、サッカークラブとして新しいロールモデルになれればいいなと思います。

(文・写真=多田哲平)